豆腐を科学する

Science of tofu.低カロリー&高タンパクの優れた食品

近年、日本の食生活も欧米化が進み、動物性のタンパク質や脂質の摂取量が多くなりました。それに伴い糖尿病、動脈硬化性疾患、高血圧症などの生活習慣病(最近まで成人病と呼ばれていました)が増加しています。そのような状況で、豆腐は低カロリーかつ高蛋白の優れた健康食として日本のみならず世界中で脚光を浴びています。そこで普段あまり知ることのない豆腐について少しだけ科学してみましょう。

豆腐の製法

大豆は栄養価の高い食料ですが、単に加熱しただけでは消化がよくありません。太古の人々は経験的に豆乳の形が消化されやすいことを知っており、塩で調味したところ昔の塩は苦汁(にがり)を多量に含んでいたため豆乳が凝固したことが、現在の豆腐の原形となったのではないかと考えられます。

  1. 大豆を洗浄する。
  2. 大豆を8~24時間水に浸し柔らかくします。
  3. 水を加えながら大豆をすりつぶし、呉(ご)を作ります。
  4. 呉に消泡剤を添加して煮ます。
  5. 呉を絞る、豆乳とおからに分けます。
  6. 豆乳に凝固剤を加えて固めます。
  7. ある程度固まった豆乳を、もめん豆腐は孔のあいた型箱に、絹こしは孔のあいていない型箱に流し込みます。
  8. 適当な時間をおき固まったら水中で型箱から取り出しカットします。

豆腐関連の食材

豆腐はその製造過程で豆乳・湯葉・おからなどができますし、豆腐自体のくせのない味や自由に形を変えられることから多くの加工品が作られます。

  1. 油場げ
    豆腐を簿く切って水をきり一度低温の油で揚げて豆腐を充分に膨張させた後、高温の油でカラッと揚げます。こうすると内側は豆腐の生地を残しながら、表面はからりとして水分を含まない、よい油揚げができます。
  2. 厚揚げ
    豆腐を厚めに切って水きりをし高温の油で揚げたもので、油揚げのように二度揚げしません。
  3. ひりょうず(がんもどき)
    もめん豆腐を水きりしてすりつぶし、おろした山芋をつなぎにして、にんじん、ごぼう、昆布、きくらげなどを加えてよく練り、丸めて揚げたものです。
    ひりょうずとは、ポルトガル語のFjlhosの音に漢字(飛龍頭、飛龍子)をあてたもので、日本には安土桃山時代に伝えられました。ひりょうずと言うのは関西で、関東ではがんもどきで通っていますが、この名の由来としては雁(がん)の肉に味が似ているからだと言われています。
  4. 焼豆腐
    水きりした豆腐を、火で焙って焦げ目をつけたもので、香ばしい風味に人気があります。煮ても「す」が立たないので、すき焼きや鍋ものによく使われます。
  5. 凍り豆腐
    硬めに作った木綿豆腐を通当な厚さに切って、マイナス15℃前後で急速冷凍させ、豆腐の表面に細かい氷の結晶を作ります。そして内部まで完全に凍らせ、解凍して、脱水・乾燥させます。保存性に優れ、昔から寒冷地の特産品として知られています。関西では高野山(こうやさん)の寺で盛んに作られたため、高野豆腐(こうやどうふ)ともいいます。
  6. 湯葉(ゆば)
    豆乳を熱した時にできる蛋白質の皮膜をすくい取ったものです。そのまま水きりしたものが生湯葉、乾燥させたものが保存用の干し湯葉です。
  7. めずらしい豆腐
    • 六条豆腐(山形県):豆腐の周囲に塩をまぶして天日でからからに乾燥させたもの。鰹節のように削って吸い物、酢の物、和え物に入れて食します。
    • 豆腐かまぼこ(秋田)
    • 豆腐よう(沖縄)

大豆や豆腐の成分

豆腐や揚げの材料である大豆は古くから「畑の肉」と賞されているほど蛋白質や脂質が豊富です。これは他の穀物とはまったく比べものになりません。

大豆と他食品との成分比較グラフ

植物性脂肪中に多く含まれるリノール酸などの不飽和脂肪酸やリン脂質である大豆レシチンは血液中にある悪玉コレステロールを下げ善玉(HDL)コレステロールを増やす働きがあり、動脈硬化などの生活習慣病(成人病)予防に良いといわれています。また腸をきれいにする食物繊維、カルシウム(骨粗鬆症の防止)、リン、鉄(貧血防止)などのミネラル群や、お肌の新陳代謝を促進し若々しく保つB1・B2・Eなどのビタミン群も含まれています。
また、アルコールに対する肝機能の衰え、消化が良いので病中病後の食事、肥満防上のダイットフードにも・・・と、豆腐はまさに高タンパク・低カロリーの理想的な食品です。

大豆と大豆商品の成分表(100g中)

食品名



kcal.
水分g 蛋白質g 脂質g 糖質g 繊維g 灰分g Caカルシウムmg Pリンmg Fe鉄mg ビタミン
B1mg B2mg
大豆 392 12.0 34.3 17.5 26.7 4.5 5.0 190 470 7.0 0.50 0.20
豆乳 42 90.8 3.6 2.0 2.9 0.2 0.5 15 49 1.2 0.03 0.02
もめん豆腐 58 88.0 6.0 3.5 1.9 0.0 0.6 120 86 1.4 0.02 0.02
絹こし豆腐 47 89.7 4.9 2.8 1.5 0.0 1.1 150 56 1.1 0.02 0.02
油揚げ 346 44.0 18.6 31.4 4.5 0.1 1.4 300 230 4.2 0.02 0.02
厚揚げ 105 79.0 10.1 7.0 2.8 0.0 1.1 240 150 2.6 0.02 0.02
凍豆腐(乾燥) 436 10.4 53.4 26.4 7.0 0.2 2.6 590 710 9.4 0.05 0.04
湯葉(乾燥) 432 8.7 52.3 24.1 11.9 0.0 3.0 270 290 11.0 0.20 0.08
おから 65 84.5 3.5 1.9 6.9 2.3 0.9 76 43 1.4 0.05 0.02

この高タンパク・低カロリー食品を世界の人が見逃しておくわけがありません。「TOFU」は、今やりっぱな世界共通語。地球のあちらこちらで販売され、ヘルシーフードとして高い評価を受けています。

食欲のない暑い時にツルッとした口当たりがうれしい冷双、寒い冬の晩にフーフーいいながら食べる湯豆腐などもいいものですが、食ベ方にもアイデアいっぱいのものが続々と誕生し、これまでの既成概念だけではとらえきれない大きな可能性を秘めているのも、豆腐の魅カと言えるでしょう。